株式会社きんでんの情報通信工事センター 業務部の皆様を対象にしたRPA(Power Automate Desktop)研修の導入事例です。
2023年1月~2023年3月にかけて、同社の業務部に所属する20代から50代までの男女社員・約30名を対象とした、2日間で計10時間の研修を実施しました。
今回、RPA研修を導入するに至った背景や、実際に研修を受けてみた感想、研修後の意識の変化などを取材させていただきました。
(左から) 業務部長 太田様、業務部 経理統轄課長 山田様、業務部 経理統轄課 幸田様
はじめに、株式会社きんでん様の会社概要を教えてください
太田:当社は関西での関西電力様の送配電工事をはじめ、日本全国でビルや工場などの大型建築物の電気設備工事を主力として、情報通信設備、空調・衛生設備、内装設備、土木設備などの設計、施工を行う総合エンジニアリング会社です。情報通信工事センターは、情報通信設備部門の組織改革の一環として、全国の各支店・支社に分散していた移動体通信キャリアの基地局工事を集約して、総合設備事業の3本柱である電気・環境・情報を強化するという事業戦略のもと、2019年4月に設立されました。
RPA研修の導入に当たり、どんな背景がありましたか?
山田:情報通信工事は工事件数が非常に多いのが特徴です。工事件数に比例して、受注した工事の登録や案件管理、協力会社様への発注、工事代金の請求など、各種事務処理量が膨大になります。情報通信工事センターの設立当初から、限られた時間と人員の中でこの膨大な事務処理業務を正確に行うことが事業運営上の最も重要な課題の一つでした。これに対応するため、「大量かつ共通の業務」については、すでにRPAを導入して業務の集約と自動化を行っていました。しかし、集約できない個人単位の業務も多く、それらの業務の生産性を高めるためには、各社員が自分で業務を自動化するスキルを習得していることが重要になるという考えがありました。
数あるRPA製品の中から、Power Automate Desktopを選んだ理由は何ですか?
山田:社内では既にOffice365を導入していたので、Power Automate Desktopが各社員のパソコンに既に備わっているツールであることと、「自分の業務を自分で改善していく」というテーマに非常にマッチしたツールだと思ったからです。研修を通して業務改善の勘所を知ることで、「社員一人一人が日常的に改善意識をもって業務に向き合う組織にしたい」という期待も込めて、私の部門の社員全員に研修を受けてもらおうと企画しました。
研修を導入するに当たって、懸念点はありましたか?
山田:こういったプログラムを作る業務には、人によって得意・不得意があることは理解していました。そのため、自分でプログラムを作成できなくても、Power Automate Desktopの仕組みや特徴を知っておくことで、「生産性を上げるためにはどこを改善すればいいのか」という着眼点を持つヒントになれば良いと思っていました。また、業務の効率化・自動化をするためには、業務の曖昧さを無くしたり、ルールの統一や、情報を如何にデジタルデータで取得するのか、また、作業を集約できるのか、といった点を研修で学ぶことができれば良いと考えていました。
日本リックのRPA研修を選んだ理由を教えてください
山田:インターネットで検索して見つけた日本リックさんの求職者さん向けRPA(Power Automate Desktop)研修ページを見て興味を持ったのがきっかけでした。Webページに書かれていたカリキュラムを見て研修内容やレベル感が当社のニーズと合致していたので、ダメもとで日本リックさんに電話をして「当社の社員向けに出張研修をやっていただけないか」と相談しました。法人向けのRPA研修については前例がないとのことでしたが、大変真摯に、スピーディーに研修を形にしてくれました。日本リックさんの研修を選んだ最大の理由は、こちらの熱意に対して、営業さん、インストラクターさんといった社員の皆さんが同じように熱意をもって、誠意ある対応をしてくださったことに心打たれたからです。
実際に研修を受けてみて、率直な感想はいかがですか?
幸田:とても楽しかったです。最初はできるか自信がなかったことが、エラーなくできたことが達成感になり、また研修の演習問題を解いていく中で、小さな成功体験が何度もできたのが自信につながりました。変数のプロパティ要素や、研修で使わなかったコマンドなどがまだ沢山あるので、これからも学んでいきたいと思っています。
山田:私のようなマネージャー層にとっては、Power Automate Desktopを使って何ができるのかや、業務を自動化するための条件は何かを知ることで、業務全体の中のどの部分を自動化するべきか、そのためには自動化する業務の前後の環境整備をどうするべきか、などのマネジメント上の気づきになると感じました。研修を受けたことで業務自動化のための着眼点が持てたので、今後の業務効率化のために的確に指示ができると思いますし、職場環境作りにも役立つと感じています。
研修の難易度はどうでしたか?
幸田:私は5、6年ほど事務経験があり、普段からExcelを使っていますが、ちょうど良かったと思います。今回の研修は、RPAやPower Automate Desktopの事前知識がなくても、パソコンを使った事務作業を行っている人や、Excelを使ったことがある人であれば、導入研修としてちょうどいい難易度だと思いました。研修前は「RPA=プログラミングのこと」だと思っていたので難しい印象がありましたが、1日目の初級編でPower Automate Desktopの基礎知識や使い方などを学んでから、2日目の中級編でUI要素や、様々な繰り返し設定などを使ったより実践的なフローの作り方を学べたので、スムーズに理解することができました。インストラクターの先生が受講者の反応を見ながら、分からないところを丁寧に教えてくれたので、途中でつまずくことなく研修を終えることができました。
ちなみに、研修の難易度を星3つで表すとどれくらいですか?
幸田:難易度的にちょうど良かったので星2つです。
山田:私は星3つでした(笑)。でも、簡単すぎても面白くないとも思いました。2日目の最後の演習問題を、がんばってやっとクリアできるギリギリのレベル設定だったので、やりごたえがある丁度良い難易度だと思いました。
研修で難しかった点は何ですか?
幸田:変数やUI要素などの、普段の業務では聞き慣れないプログラミング的な要素や専門用語に少し戸惑いました。ただ、研修でプロパティとか知らない名称や、Power Automate Desktopでできること・できないことなどの基礎を学べたので、今では分からない部分は自分でインターネットで調べながらフローを組むことができるようになりました。
研修を受けた社員の方々からは、どんな感想を聞いていますか?
山田:「楽しかった!」という感想が一番多いです。特に若手の社員にとっては、演習問題をゲーム感覚で課題をクリアしていくところが達成感になり、楽しめたんじゃないかなと思います。中には「自分には向いていない」という人もいましたが、全体的には楽しかったという人が多かったです。「楽しみながらやる」ということは、自発的に業務改善に向き合ってもらう上で最も大切な姿勢だと思っています。
研修で学んだことを活かして、何か自身の業務を改善されたことはありますか?
幸田:まだ一部分のみですが、「申請書類(PDF)をメールに添付して、担当部署に提出する」という業務を自動化して運用しています。申請書類(PDF)が1枚の場合と、それ以上の場合で、分岐フローを作成することで、メール作成時の手間を削減できました。
研修で学んだことは、今後のどんな業務に活かせそうですか?
幸田:現在、「工事用資材の入出庫管理システム」の新規導入を進めています。今は別のシステムで作った資材発注情報を、新システムに入荷予定として手入力しているのですが、その入力作業を自動化するためのプログラム作りに取り組んでいます。今回の研修で、「業務を自動化するためにはどんなデータを準備する必要があるのか」が理解できたので、少しずつ自動化していけたらいいなと思っています。
山田:実は、試作段階のものを見せてもらいましたが、驚くくらい凄いものになりそうです・・・!なので、完成をかなり期待しています。
さいごに、日本リックのRPA研修のおすすめポイントを教えてください
太田:全く知識がなくても、Power Automate Desktopについて理解できると思います。そのような研修プログラム構成になっており安心です。
山田:研修カリキュラムが非常に緻密に構成されているので、演習通りにやっていけば、自然と理解が深まると感じました。あとは、受講者3~4人ごとにインストラクターの先生が1人ついてくれるので、わからないことがあれば、その場でホワイトボードを使ってフォローして解決してくれる点が入門研修として大変有意義だと感じました。
幸田:私も一緒です。少人数制の対面での研修だったのが一番良かったなと思います。人によって理解度が違う中、インストラクターの先生が個別にフォローしてくれるので、「自分は向いてない」と思っていた人でも、最後はみんなでゴール地点まで到達できたことが良かったと思います。
山田:日本リックさんは2日間の研修を通して、「一緒にここまで到達しよう」とこちらと一体感を持って最後まで研修を実施してくれたのが良かったです。「誰一人として途中で脱落することなく、みんなをゴールまで連れて行ってくれる」、そんな研修だと思いました。研修を企画した側としてもとても嬉しかったです。